風疹5年ぶりに患者数2千人超え…今すべき本当に必要な対策

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 風疹が7月以降、流行している。合計患者数が11月20日時点で2000人超。これほどの数になるのは、2012年~13年の全国的な流行以来5年振りだ。しかし、「三木内科クリニック」(東京・神田)の三木治院長は「だれもが過剰に反応するのはどうかと思います」と話す。

「先日も、風疹流行の報道を見て、60代の男性が慌てて受診されました。しかし話を伺うと、妊娠可能な女性と接触する機会はほぼない。その男性も、風疹ではなく風邪でした」(三木院長)

 この男性は風疹の説明を受けると、受診時とは一変、落ち着いた様子で帰って行った。

 三木院長が「冷静な対応を」と言うのは、風疹で恐れなければならないのが「先天性風疹症候群」だからだ。

 風疹は健康な大人がかかってもほとんどが大事には至らない。しかし妊婦が感染すると大問題だ。胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心臓病、白内障、精神や身体の発達の遅れなど障がいを持つ可能性がある。これらを「先天性風疹症候群」という。風疹対策は自分のためにではなく、妊婦と新生児のために考えなくてはならないのだ。

■ベストはワクチン接種だが

「国のワクチン制度の変更でワクチン接種を受けていない30~50代の男性が感染者の中心です。妊娠可能な女性と接触する機会があるでしょうから、風疹対策をしっかり考えるべき。高齢者であっても、子供夫婦と同居していたり、社会と接する機会が多ければ同様。しかし、そうではない方たちもいます。要は、風疹の正しい知識を持つことが重要なのです」(三木院長)

 風疹は治療薬がなく、ワクチン接種が予防策としてベスト。時間がなければワクチン接種をすぐに受けるべきだが、そうでなければ、まずは風疹への免疫があるかどうかを調べる抗体検査を。十分高い抗体価がある場合は、ワクチン接種は必要ない。逆に、抗体価が低ければ、ワクチン接種が必要だ。

 なお、子供の場合は、1995年4月以降、生後12~90カ月の男女への風疹ワクチンの定期接種が義務付けられている。

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