ステージⅣがん治療を断るとどうなる

免疫力研究の第一人者も勧める免疫力アップの確実な方法

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 がんには「5年生存率」という言葉がある。がんと診断されてから5年後に生存が確認できた割合を意味するのだが、「がんと宣告された人は5年生きればいい」と、私には聞こえる。ちなみに、ステージⅣの食道がんの5年生存率は12.2%だ。これは医療の、医師の怠慢、傲慢さではないか。

 先日、知人の女性と会った。彼女は心から楽しそうに笑う。周囲の人を明るくさせ、元気にさせる人気者だ。話の内容からすると還暦は過ぎてはいるのだろう。ところが、彼女は8年前にがんを患い、手術を受け、つらい抗がん剤治療とも闘った。年に1度受けている検診では、再発の兆しは見られないという。

 一昨年急死した新潟大学名誉教授の安保徹氏は免疫療法で知られ、免疫力を高めればがんを克服できると話していた。その手軽で確実な方法として勧めていたのが「笑う」ことだった。笑いは副交感神経を優位にし、NK細胞の活性を高める。「ストレスの強い人ほど効果が高く、どんなに面白いことがなくても鏡に向かってつくり笑いするだけで筋肉がほぐれ、免疫力を高めるいい結果が出ている」と述べている。

 医師で作家の鎌田實さんも、笑いの効用を説いている。その中に例として2人の人物を出す。1人は米国のノーマン・カズンズさん。膠原(こうげん)病をステロイドなどの薬を用いずに治し、「笑いと治癒力」という世界的なベストセラーを著した。もう1人が笹森恵子さん。広島で被爆し、その後2度のがんを乗り越えた方だ。彼女はノーマン・カズンズさんの養女になり、よく笑うようになった。

「笑うことがこの2人の命を支えてきたと感じた」(鎌田さん)

 さらにこうも言う。感染症の時には交感神経が緊張する“頑張るという思い”の方が生き抜けられるが、がんと闘うのは副交感神経が支配するリンパ球。

「だから、がんと向き合うためには頑張るって思い過ぎないほうがいい」

 私も笑いに包まれる日常を増やしている。

笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

関連記事