認知症と診断されたら肝臓の検査を…肝性脳症の疑いあり

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 自覚するかは別にして、肝硬変に進んでから徐々に出てくる肝臓病の症状は主に、黄疸、腹水、上部消化管出血などの出血傾向、感染症、そして肝性脳症の5つがある。このうち肝性脳症は認知症と非常に似通った症状であり、認知症と誤診されるケースが少なくない。認知症のガイドラインにも「認知症との鑑別が必要な疾患」と記載されている。

「肥満の増加から、アルコールを摂取しなくても脂肪肝炎を起こすNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が増えており、認知症と肝性脳症の鑑別は特に注目されています」

 肝性脳症は、肝硬変による肝機能低下で、アンモニアが解毒されずに血中濃度が増加。肝臓や、その周辺にできた側副血行路という新生血管を介してアンモニアが全身に回り、脳に達して脳神経細胞機能が障害される。

 さらに、血中アミノ酸のバランスが崩れて神経伝達を阻害し、脳に影響を及ぼす。これらによって、「時間・場所が分からなくなる」「物の取り違え」「お金をまく、化粧品をゴミ箱に捨てるなどの異常行動」「眠りに陥りがちで、うとうとしている」などの症状が表れる。

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