中高年女性がかかりやすい病気

ドライアイは同世代男性の5倍 白内障は2倍以上の患者数

緑内障も多い
緑内障も多い(C)日刊ゲンダイ

 全国で働く医師のうち、女性はわずか21.1%にすぎません。しかし皮膚科(47.5%)、乳腺外科(39.5%)、産婦人科(35.8%)などでは、女性の進出が活発です。

 眼科(38.3%)も女性医師が多い科目のひとつです。昔から女医さんが多かった印象がありますが、いまや4割近くに達しているのです。

「眼科は楽できるから」「患者が死なないから」といった陰口をよく聞きます。

 それだけが理由ではないでしょうが、最近の医学部では、眼科を志望する女子が大勢いるそうです。

 しかし、実際は女性患者の方が多いからかもしれません。

 中高年女性(40~64歳)に限っても、ドライアイ、結膜炎、角膜炎などの患者が大勢います。

 ドライアイは同世代の男性の5倍、角膜炎は2倍以上、結膜炎も2倍近くいます。コンタクトレンズが大きな原因のひとつです。よく手入れしないと細菌やカビの温床になりますし、清潔にしていてもレンズと眼球の間に花粉やホコリが紛れ込んできます。また、結膜炎は、小中学生の子供からうつされることが多い病気です。子育てを真面目にやっている母親は、結膜炎にかかるリスクが高いわけです。

 これらの病気は命に関わるものではなく、失明の可能性も低いため、医者にとっては確かに楽かもしれません。しかし、不快感やかゆみ・痛みを伴いますし、美容上の問題も伴うため、とくに女性患者にとっては大問題でしょう。だから、眼科に女医さんが多いのは、むしろ当然です。

 それだけではありません。実は中高年女性は、白内障や緑内障も多いことが分かっています。白内障患者は約5万4000人(男性は約2万5000人)、緑内障は約1万6700人(同約1万700人)。どちらも加齢とともに患者も増えていきますが、中高年で発症すると、将来の失明につながることがあります。

 眼科の女医さんたちは、それらの治療の一翼も担っているわけです。

 ちなみに中高年男性がかかりやすいのは、網膜剥離(約1万1000人)と網膜血管閉塞症(約1万人)。どちらも失明する危険が高い病気です。腕の立つ女医さんも大勢いますから、まさかのときはネットで調べてみてください。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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