天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

眉間のしわが深い人は心臓病リスクがアップするのは本当か

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

 自分がイライラしているときにダブルプロダクトがどれくらい高くなっているのかをチェックしておけば、心臓疾患のリスク因子が数値化されて見えてきます。それを把握しておけば、心臓病予防のための自己管理や、心臓に異変を感じたときにより適切な治療に結びつけることができるようになるでしょう。

 いまはスマートフォンなどの端末やスマートウオッチなどのウエアラブル機器を利用して、手軽に血圧や脈拍をチェックすることができます。心臓に不安がある人は試してみてください。

 ただ、あまりにも厳格に自己管理を行うと、逆効果になるケースもあります。イライラするたびにきっちり血圧と脈拍を計測するとなると、自分の行動をすべてタイムカード化するみたいなものですから、かえってストレスを感じてしまう場合があるのです。これでは本末転倒です。新しい機器を活用して自己管理を実践することをわずらわしく感じてしまう人は参考程度にとどめておくほうがいいかもしれません。もちろん、そういった自己管理が好きな人にはおすすめですし、心臓疾患のリスクがアップする高齢者、すでに心臓疾患を経験したことがある人などは、ウエアラブル機器を使って自分の生体情報を管理する方法が効果的なのは間違いありません。

 いずれにせよ、今回取り上げた眉間のしわと心臓疾患の関連といったような医療情報は、「心臓を管理するためのひとつの入り口」程度に考え、自分の性格や生活を振り返りながら取り入れていくかどうかを判断するのが望ましいといえます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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