青酸カリの1000倍! ふぐ中毒の大半は家庭で起きている

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 刺身はもちろん鍋も良しーー。冬はふぐ料理がおいしい季節だ。冬が旬とされるのは成長したふぐが産卵のため沿岸に近づくためふぐが取れやすいからだ。おいしいふぐが身近になるのはありがたいが、忘れてならないのはふぐ毒だ。平成29年までの10年間に230件のふぐ中毒が報告され332人が中毒症を患い、6人が死亡している。致死率は1・8%だ。

 ふぐ中毒は症状の悪化が早く、食べてから亡くなるまでの時間は4~6時間といわれ、食べてから20分~3時間ほどで、口唇、舌端、指先のしびれが表れます。頭痛、腹痛などを伴い、激しい嘔吐が続き、千鳥足となる。やがて知覚マヒ、言語障害、呼吸困難となり、血圧が下降、全身に運動麻痺が起きて、指さえ動かなくなる。ただし、亡くなる直前までハッキリしている。女子栄養大学大学院前教授で、神奈川工科大学の上田成子客員教授が言う。

「ふぐの毒の種類は量はふぐの種類や臓器によって異なりますが、代表的な毒性物質はテトロドトキシンです。多くの種類のふぐが持っていて、青酸カリの500~1000倍の毒性をもつといわれています。耐熱性があるので通常の加熱調理では壊れません。致死量はわずか2~3ミリグラムといわれています」

 平成5年から平成29年までで、東京都内で起きたふぐ中毒の事例をみると、飲食店で起きたのは14例中3例。釣ってきた9例、拾った1例、土産物のスープ1例、その他1例と大半は家庭で起きている。

「厚労省も各地方自治体も再三にわたりふぐ毒について警告を出しているのですが、毎年のように中毒者が出るのは残念なことです。ふぐを釣っても自分で料理をして食べることは絶対にしないでください。釣ったふぐを食べる場合は、必ず都道府県知事等が認めた専門のふぐ取扱者・調理人に処理を依頼してください。人にふぐを譲るのもやめてください」(上田教授)

 休日は釣り三昧、という人は覚えておこう。

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