後悔しない認知症

親がボケた!「絶望」「諦め」「怒り」「愚痴」すべてダメ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「世の中には認知症の人と、やがて認知症になる人の2種類しかいない」

 現代をそう評する人がいるが、人生100年の超高齢社会を的確に言い表す言葉かもしれない。なぜなら、認知症とは主に加齢による脳の変性が原因で引き起こされるものであり、長生きすれば誰でも避けることのできない病だからである。実際のところ、75歳以上になると10%強、85歳を過ぎると50%くらいの人が認知症の診断基準を満たすとされている。ご存じのように現在の日本人の死亡原因のトップはがんだが、老化に伴って認知症を発症する確率は、がん発症の確率を大きく上回る。

 認知症はがんとは違い、それ自体が死に直結する可能性はないが、残念なことに現代の医学では完治させる治療法は確立していない。けれども、仮に親が認知症と診断されたからといって、その子どもが絶望する必要などない。認知症の親を前にして「親がボケた」と諦めてしまうことは禁物である。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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