またこんなに……。スーツやコートの襟首に散らばった白いもの。フケだ。空気が乾燥するこれからのシーズンは、パラパラと乾いたフケが落ちやすくなる。ありふれた症状ながら、自分にとっても周りにとっても不愉快で、人間関係に溝を生みかねないだけに厄介だろう。“粉雪”から解放される術はないか。すみれ皮膚科クリニックの藤田伸弘院長に聞いた。
「フケの原因は、たくさんありますが、そのベースにシャンプーそのものや洗い方が関係しているケースが少なくありません。皮膚科の病気の可能性を考えても、シャンプーを含めた洗い方を見直すことは大切です」
乾いた乾燥性湿疹によるフケも、ベタつく脂漏性皮膚炎によるフケもあるが、いずれにしてもかぶれがある。そこにシャンプーなどの影響が重なると、通常1カ月ほどの皮膚の新陳代謝が早まって、アカのようなものがはがれ落ちる。
新陳代謝が10倍にも早まるという乾癬という病気の影響に伴うフケの場合、部屋を掃除すると、ちり取りがいっぱいになるというから大変だ。
病気の影響はまず脇に置いておいて、シャンプーの使い方が悪いというのはどういうことか。
「とにかくフケを落とそうとするあまりゴシゴシ洗う強さの問題がひとつです。もうひとつは洗う回数で、洗浄力や刺激が強いシャンプーが3つ目。4番目は、シャンプーそのものや汚れの洗い残しです。3番目までの要素が単独だったり、重なったりすると、頭皮の皮脂が必要以上に落とされて乾燥して、かぶれを助長する。一方、4つ目は、シャンプーの残りなどで地肌が刺激を受けて悪化したり、頭皮に潜むカビの仲間のマラセチアが汚れをエサとして増殖したりしてフケが増えます」
■洗った後はすぐにドライヤーで乾かす
40代の記者も、多くはないが、フケが出る。それでシャンプーのとき、ついゴシゴシやってしまう。それがよくないということだが、間違っている人は少なくないだろう。どうすればいいか。
「刺激が強いシャンプーは、石油系界面活性剤が使われているので、低刺激なアミノ酸シャンプーに切り替えること。洗い方としては、頭を十分よく濡らして、なるべくシャンプーが頭皮に直接当たらないように泡立ててから、爪を立てずに指の腹で優しく、です。洗う回数は1日1回。男性はバスタオルでパパッと拭いてリビングで過ごしながら乾くのを待つことが多いかもしれませんが、洗った後はすぐにドライヤーで乾かすのが無難。ただし、高温の熱風が頭皮に当たらないように遠くからがベターです」
なるほど、記者も短髪なのでシャンプー後にドライヤーをかけることはなかった。すぐに乾燥させて雑菌の繁殖を抑えるのだという。
つまるところ、かぶれや炎症を起こさないようにシャンプーをすればいいということだが、病気の場合は?
「カビの場合は、それを抑える抗真菌シャンプーを使うのが一番です。乾癬の確定診断には、細胞を採取して調べる生検が必要ですが、フケ症だけでそこまで行うのはまれ。ハウスダストやダニのアレルギーがあると、頭皮のかゆみが強くなる傾向があることから、皮膚科でアレルゲンを調べるパッチテストを受けるといい」
アミノ酸シャンプーはドラッグストアなどで1000円ほどで買えるものもある。
病み患いのモトを断つ