Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

毎日5杯のコーヒーで肝臓がんの発生率は4分の1に低下する

勝谷誠彦さんは肝硬変で急逝(C)日刊ゲンダイ

 これまでの肝臓がんは感染症の要素が大きかったのです。しかし、ウイルスの感染ルートがほぼなくなると、事情は変わります。そうではない肝臓がんが増えるとみられているのです。

 そのひとつが、アルコール性肝炎。およそ18万人を対象にした国立がん研究センターの大規模調査によると、男性は多量飲酒で肝臓がんのリスクが上昇します。多量飲酒とは、正味のアルコール量で1日69グラム以上。日本酒換算で3合以上です。これを避けることが肝臓がんを食い止める第一歩になります。

 肝臓がんとの関係で、もうひとつ見逃せないのがNASHです。飲酒をよくする人がなる脂肪肝と区別して、非アルコール性脂肪肝炎といいます。アルコールを飲まない人の中にも、アルコール性肝炎と同じような重症化のシナリオをたどるケースがあるのです。肥満の人に多いことから、肥満予防も大切でしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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