後悔しない認知症

薬でも改善しない…がんやうつでも認知症と似た症状が出る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■薬で改善しなければ誤診の可能性

 また「老人性うつ」を認知症と誤診されてしまうこともある。老人性うつの症状は認知症のそれと非常によく似ている。私は現在まで30年近く老年精神医学に携わり数多くの高齢者を診てきたが、うつ病が原因で言動や生活スタイルに大きな「ヘン」が生じたケースも少なくない。

「別の病院で認知症と診断されて薬を飲んでいるが症状が進んでいる」と子どもに連れてこられた患者さんを実際に診察し検査をしてみると、認知症ではなくうつ病と判明したりする。そこで認知症ではなくうつ病の治療を施したところ、症状が飛躍的に改善したケースも多い。

 高齢な親をもつ子どもは、とにかく「親がヘン」↓「ボケた」↓「認知症」という考え方を一度は疑ってみることだ。ろくに患者の顔も見ずに、マニュアル通りの検査だけで「はい、認知症ですね」と診断し処方箋を出しておしまいという医者には要注意だ。「認知症らしく思えても原因は違う」ということを忘れてはならない。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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