独白 愉快な“病人”たち

重病3つ同時に…シンガー小坂忠さん壮絶闘病から復活まで

小坂忠さん(C)日刊ゲンダイ

 思わず泣いてしまったのは、絶飲食が終わって最初に食べたおもゆです。おもゆって、まるで糊を水で薄めたようなものでしょう? 味も素っ気もない。でもね、50日ぶりに口に食べ物が入ったら感動しますよ。決しておいしくはなかったけれど、「こんなもので?」と思いながら涙がこぼれました。

 退院したのは10月初旬で、下旬にはもうコンサートで歌っていました。今回の入院で「歌いたい」という思いが一層強くなった気がします。体力や免疫力が落ちてしまう抗がん剤治療はしていません。ボクにとっては歌うことが治療であり、免疫力を上げてくれるものだと思っています。

 実は今も肺にがんを抱えています。大腸がんから転移したがん。だから「肺がん」じゃなくて、肺にある大腸がん。どうやら性質が違うものらしいです。手術はできないと言われ、抗がん剤治療を勧められましたが、自己免疫力を信じてみることにしました。

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