がん発症の妻にしてあげた10のこと

<4>夫婦で全国「猫旅」に出かける 台湾やロシアへも

りゅう(手前)とライ(C)日刊ゲンダイ

 当然、被写体のメインどころはりゅう君らが務めることになった。

「初めの頃は日々の猫の姿をそのまま撮影していただけでしたが、そのうち彼女はカルチャーセンターの猫写真講座に通い出しました。すると、写真の技術が上がっただけでなく、撮影のロケーションや雰囲気にも凝るようになったのです」

 そんな佳江さんに連れられ、いろんなところへ出かけたという。最初の頃は近所や新宿中央公園。遠出の旅行先では猫探しが必須条件だった。

「2人で旅行に出かけるときは、妻の実家に猫を預けていました。旅行がてら猫も見に行くというのではなく、猫そのものが目的です。猫で有名な尾道、新潟市のオーナーが猫好きのワイナリー『カーブドッチ』、北九州小劇場というすてきな劇場で公演した時は、休演日に彼女を呼んで門司港にも行った。そこへ猫が登場し、妻は何枚もシャッターを切っていました」

 猫好き夫婦は海外にまで足を延ばす。

「台湾も猫のために行った。妻がチェブラーシカの大ファンだったこともあって、ロシアにも行きました」

 だが、ロシア行きの前、がんは骨に転移していた。 =つづく

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小宮孝泰

小宮孝泰

1956年、神奈川県小田原市生まれ。明治大学卒。80年、渡辺正行、ラサール石井と「コント赤信号」でTVデビュー。91年に佳江さんと結婚。2001年、31歳の佳江さんに乳がん発症。12年に永眠。今年9月に、出会いから別れまでの出来事をつづった「猫女房」(秀和システム)を上梓。

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