天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

抗凝固薬は古い薬と新しい薬では価格差が50倍もある

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

 心血管疾患に対して使われるクスリの中で患者さんもよく耳にするのが「ワーファリン」でしょう。血液をサラサラにする抗凝固薬と呼ばれるクスリで、心筋梗塞や脳梗塞の予防のために古くから使われています。

 ワーファリンは血液凝固因子の合成に関わっているビタミンKの働きを抑えることで、血栓が出来るのを防ぎます。心臓弁膜症で人工弁置換術を受けた人や、心房細動によって起こりやすくなる脳梗塞を予防するためにも処方されます。基本的には、出血の副作用が出ない限り飲み続けなければならない常用薬です。

 高齢化が進む日本では、70歳以上の3%、80歳以上の4%が心房細動を発症しているとみられています。それだけ、ワーファリンを飲んでいる人が多いということです。

 ここ数年、そんな“メジャー”なワーファリンと同じ抗凝固薬として、新しいタイプの薬が登場しています。「ドアック(DOAC)」(NOAC)と呼ばれる直接経口抗凝固薬で、国内では現在4種類が発売され、広く使われるようになってきました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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