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肥満気味なら…BMI「25未満」を目指せばハードルは低い

段階を踏んで…
段階を踏んで…(C)PIXTA

 体格指数を示すBMI(Body Mass Index)は、「体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長(メートル)」で計算されます。肥満度を調べる簡単な指標ですから、皆さんもご存じでしょう。

 田中春樹さん(仮名・41)は、身長168センチ、体重77キロ。見た目に太ってはいませんが、BMIは27.3。BMIの正常値は「18.5以上25未満」ですから、やや肥満気味です。会社の健康診断で「血圧や血糖値などに異常はありませんが、今後のことを考えると、標準体重を目指して減量してください」と注意されたそうで、ショックの様子です。

 標準体重とは、BMI22を理想として割り出したものです。田中さんの標準体重を計算すると、22×1.68×1.68で、62.1キロ。理屈はもっともですが、15キロ近く体重を落とすのは大変。三日坊主どころか、ダイエットにトライすることさえ諦めてしまうかもしれません。

 それがダイエットの難しいところですが、私が患者さんに減量指導するときは一工夫します。標準体重ではなく、BMIが正常になる上限の体重を最初の目標にするのです。つまり、BMI25を下回ること。それで計算すると、70.6キロほどですから、6キロくらいの減量で済みます。これを下回れば、正常ですから、ハードルは低い。

 最初から15キロを目指すのではなく、6キロの減量に成功したら、次の目標にチャレンジするイメージです。2度目のチャレンジも、合計15キロ減までの残りの分の9キロ減を目標にするのではなくて、3キロ減でも4キロ減でも構いません。6キロ減から少しでも多く上積みできたら、より標準体重に近づくわけですから、自分を褒めてください。自分へのご褒美に新しい服を買うのもいいでしょう。

 田中さんも小さな目標設定の積み重ねでまず6キロ減をクリア。そこから4キロの減量を重ねて、10キロの減量に成功。さらに5キロの減量は難しそうですが、体重をキープしようと、なるべく歩いたり、食べ過ぎをやめたりして生活改善を努力するように。穏やかなダイエットに成功すると、自然と生活改善の視点が生まれることに価値があるのです。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック)

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