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値段も種類もさまざま…降圧剤はいろいろな選び方がある

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 降圧薬として第1選択として使われるのは、利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)です。

 どの薬がどれくらい使われているかを医療機関が診療報酬を請求するためのレセプトデータから調査した研究があります。

 研究は2009年と14年の2年間のデータを集計しています。最も多いのがCa拮抗薬で14年では65.2%、続いてARBの59.9%、利尿薬のひとつである抗アルドステロン薬が16.9%、ACE阻害薬が15.6%、サイアザイド系と呼ばれる利尿薬が10.6%、β遮断薬10.6%となっています。

 この割合は14年時点の私の処方とは大きく異なります。私自身の処方ではCa拮抗薬とサイアザイド系利尿薬が多く、次にACE阻害薬です。ここには降圧薬の値段が大きく関連しています。この3種類の降圧薬はジェネリックを利用すれば、最小用量の薬の値段が10円程度という安さです。それに対して、ARBは30円以上もするからです。

 ただ現在はARBもジェネリックが発売され同様の値段になり、どの薬でも同じような負担で、効果の面でも薬による違いは少なく、それぞれの病態に応じて選択すればよいという状況になっています。

 しかしジェネリックを使わない場合には、利尿薬が飛び抜けて安く、ARBが一番高いということになります。降圧薬はまずジェネリック、ジェネリックが嫌な人は利尿薬がおすすめです。ただジェネリックを嫌がる必要はあまりないと思います。

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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