風邪に抗生物質NGは大きな間違い 必要な人の2つの条件

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 さらに、高齢の患者では肺に何らかの基礎疾患を持っている人が多いが、患者は必ずしも自覚していない。COPDや気管支拡張症などと診断され、通院している人以外にも、隠れた基礎疾患を持っており、それを知らない人はたくさんいる。

「高齢者では、咳と色のついた痰で1~2カ月以上苦しむというパターンをよく見かけます。私がこのような患者にCT検査をすると、胸部エックス線写真で判明しなかった肺の基礎疾患(軽症の気管支拡張症、肺気腫など)が高率に認められます。このような方には抗菌薬がよく効き、長い咳、痰の苦しみから解放されます。だからこそ、前述の問診が欠かせないのです」

 徳田医師が抗菌薬を処方する場合、期間は5日以内。抗菌薬にはいくつかの種類があるが、気管支、肺の感染症に効果が優れている「レスピラトリーキノロン」という系統の薬を使うことが多い。

「レスピラトリーキノロンは5日以内であれば薬剤耐性は生じないという欧米の論文があります。また、キノロン耐性肺炎球菌の頻度は過去10年余にわたって1%前後で、増えていません。乱用さえしなければ、重い病気への発展を阻み、またつらい症状を解決する有用な薬なのです」

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