市販薬との正しい付き合い方

体と医療費に優しい「スイッチOTC医薬品」使用2つの注意点

写真はイメージ
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 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、2017年1月1日以降に「スイッチOTC医薬品」(要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

 具体的には、スイッチOTC医薬品の購入金額が1万2000円を超えた分に対して総所得金額から控除が受けられます。これは、健康の維持増進と疾病の予防のために、セルフメディケーションを推進するための施策の一環です。

 スイッチOTC医薬品は、今年11月19日時点で成分が73種類、品目数は1708あります。医療用医薬品は約2万品目なので十分ではないかもしれませんが、比較的安全に使用できて、なおかつ健康の維持増進や疾病の予防に効果があるものが選抜され、スイッチOTCとして市販されているのです。

 とはいえ、もともと医療用だった薬ですから、それなりに注意を払って使用する必要があります。スイッチOTC医薬品の使用に関して注意すべき点は2つあります。

①薬の選択は薬剤師とよく相談する(症状に合った薬を見極める必要があり、医療用医薬品と同じ商品名でも成分が異なる場合がある)。

②適正な期間で使用しても症状が改善されない、または悪化する場合には受診し、医師に相談する(長期間使うことで、病気の発見が遅れることがあり、精密な検査が必要な病気が隠れている場合もある)。

 以上の2点に注意しなながら、スイッチOTC医薬品を上手に使うことは、病気の予防や健康につながるだけでなく、節税や医療費の削減にもつながります。セルフメディケーションは体にもフトコロにも優しいといえるでしょう。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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