天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新タイプのコレステロール降下薬は2週に1度の自己注射で効果があるが

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

 現在、プラルエントの適応は「家族性高コレステロール血症と高コレステロール血症」で「心血管イベントの発現リスクが高い」うえ、スタチン系では効果が不十分な場合に限られていますが、今後は適応が拡大されたり、同じようなタイプの確実性のあるコレステロール降下薬がどんどん出てくるでしょう。

 ただ、コレステロール降下薬は基本的にはずっと飲み続けなければいけないので、高価な新しいクスリは患者さんの負担が大きくなってしまいます。ですから、自分に合っているクスリをしっかり選択することが大切です。

 コレステロール降下薬を服用する際、いちばん注意しなければならないのは副作用です。筋肉痛や関節痛、まれに筋萎縮や横紋筋融解症といった重篤な副作用を起こす可能性があるからです。

 虚血性心疾患の患者さんの再発を予防する場合、一般的にはLDLを「90㎎/デシリットル以下」にコントロールすれば良いといわれていて、さらに「70以下」に管理するとより明らかな再発予防効果があるというデータもあります。コレステロール降下剤を使ってそれくらい厳格に管理すると、副作用を訴える患者さんが増える傾向にあるので、副作用の表れ方をしっかり見極められる医師を選ぶ必要があるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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