患者が語る 糖尿病と一生付き合う法

1日30回グルコース確認…こまめな測定にはマイナス点も

数値に振り回されてしまう

 インスリンの効きは、体調などに応じて刻々と変化する。「これだけ打てばこれだけ下がるはず」とか「これだけ食べればこれだけ上がるはず」といった予想は、立てられるようで立てられない。あくまでその時次第なのだ。

 そんなことは、これまでの経験から身に染みてわかっている。それでも、なまじ手軽にグルコース値を測れる装置などを持っていると、ついちょくちょく測り、それにいちいち踊らされてしまう自分がいる。

「あまりストイックにならないように。血糖値をいい範囲に収めるためだけに生きてるわけじゃないでしょ?」

 主治医からはそう諭されるし、もっともだとも思う。せめてもう少し、おうようになれないものかと。しかしそれも性格なので、なかなか改められそうにない。

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平山瑞穂

平山瑞穂

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

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