市販薬との正しい付き合い方

「OTC医薬品」は同じ名前の薬でも同じ成分とは限らない

ロキソニンにも種類がある
ロキソニンにも種類がある(C)日刊ゲンダイ

 OTC医薬品は誰でも薬局やドラッグストアで買うことができます。まさに「セルフ」メディケーションですが、言い換えれば「自己責任」ということです。つまり、きちんと症状に合った薬にたどりつくためには、自分で知識や情報を入手するか、または薬剤師に相談するか、またはその両方ということになります。

 症状に合ったOTC医薬品を選ぶために、覚えておくべき知識があります。「同じ名前の薬だからといって、同じ成分とは限らない」ということです。少し知識がある人なら、「スイッチOTC医薬品」=「医療用医薬品からOTC医薬品へと変わった薬」=「医療用と同じ成分」と考えてしまいがちです。しかし、これも誤りな場合があります。

 たとえば、医療用の「ロキソニン」(ロキソプロフェン)は、解熱鎮痛薬としておなじみの薬でしょう。ロキソニンはスイッチOTC医薬品なのでドラッグストアでも売られていますが、OTCのロキソニンには、「ロキソニンS」「ロキソニンSプラス」「ロキソニンSプレミアム」といった種類があります。

 主成分であるロキソプロフェンに、胃粘膜保護作用成分の「メタケイ酸アルミン酸マグネシウム」を加えたのがロキソニンSプラス、さらに鎮静成分の「アリルイソプロピルアセチル尿素」を配合したものがロキソニンSプレミアムです。つまり、同じロキソニンでも医療用は単剤ですが、OTCではいくつかの成分を加えた合剤の場合もあるのです。

 もちろん、自分の症状に合った必要な成分であれば問題ないですが、鎮静作用のある薬を飲むと眠気が出て運転や仕事中は向かないでしょう。いわば、余計な成分をとってしまう可能性があるのです。

 OTC医薬品を選ぶ際は、「同じ名前でも、まったく同じ薬とは限らない」と認識して、自分に必要な成分だけを見極めて服用する必要があるのです。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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