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Kさんのお手紙を読んで、私は精神科医の岩井寛氏を思い出しました。彼はがんが進行し、下半身麻痺となり、耳が聞こえなくなり、目が見えなくなりました。しかし、そんな状態でも口述筆記を行っています。
「自分の死後、おれはこんな仕事をしたという確証を残したいから本を書いているのでもない。……それは『最期まで人間として意味を求めながら生きたい』からである」
岩井氏は日本で生まれた精神療法「森田療法」の中で、「奈落を排除するのではなく、あるがまま、奈落に日常を持ち込む」と言っています。
また一歩、死の恐怖を乗り越える術に近づいた気がしました。
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