痛みや恐怖感を減らす VRで“気をそらす治療”の凄い効果

今はゲーム主体だが…(C)日刊ゲンダイ

 痛みが出たとき、患者の意識を痛みから別の対象にそらすと、痛みが軽減する。人は限られた数の刺激にしか反応できないからだ。物がぶつかったときに人がその場所に手を当てて痛みから逃れようとするのはこのためで、それが「手当て」の語源にもなっている。

 この理論を応用して、痛みの強い患者に対して医師は絵や音楽、マッサージや瞑想などを勧めてきた。最近ではテレビゲームでの効果が報告され注目されていたが、それを上回る結果をVRが出しているという。

「海外の報告では、片足に重度のやけどを負い、医療用ホチキスが必要な16歳の少年は、テレビゲームで気をそらしたときは治療時間の96%を痛みについて考えたと答えたそうです。ところが、VRでは2%しか痛みについて考えなかったというのです」

 この方法が凄いのは、一度VRによる効果を実感すると脳がそのことを記憶して、VRを見ていなくてもある程度痛みを抑えることができる点だ。

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