「日本ではがんの緩和ケアなど限定的にしか使われていない『オピオイド系鎮痛剤(医療用麻薬)』ですが、米国では乱用による依存症が深刻で、現在200万人以上の患者がいて年間6万人が過剰摂取で亡くなっているともいわれています。だからこそ、このVRディストラクションによる治療が期待されていて、日本でもその効果に注目が集まっているのです」
■リハビリにも応用できる
VRディストラクションによる実用化がとくに期待されているのはリハビリテーションだ。
「VRは脳をどう変えるか?」(文芸春秋)という本のなかで、やけどで入院中の子供の患者54人を対象にVRを使いながらのリハビリと、そうでない通常のリハビリをやってもらい、痛みの程度を比べた海外での実験が紹介されている。結果はVR使用の方が痛みは27~44%低下し、VRでのリハビリの方が楽しかったと答えたという。