がん発症の妻にしてあげた10のこと

<最終回>本を出す「思い出す度、故人は生き続ける」

妻の佳江さん(提供写真)

 佳江さんが2012年10月31日に亡くなってから6年の長い月日が過ぎた。小宮さんはある日、「秀和システム」の編集者と知り合い、「猫女房」というタイトルで追想本を出版することになった。

 芸能人が妻の闘病記を出すことについては、売名行為といった陰口が常に付きまとう。小宮さんも葛藤を隠さない。

「この取材を受けるにあたり、前日から自問していました。書かなければいけないものでもないし、書くことで何かしらの対価はもらうわけであって、そういうことはちょっと心苦しいなあ……というのは、やっぱりないわけではなかった。世間が言う通り、ある意味、売名行為にもなるわけですし、本を出すことへの葛藤はありましたね」

 実際のところ、小宮さんに出版の予定はなかった。もし仮に出版を予定していたなら、亡くなってすぐの方が得られた利益は大きかったはずで、6年もかかったという時点で最初からその意思が薄かったことが分かる。

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小宮孝泰

小宮孝泰

1956年、神奈川県小田原市生まれ。明治大学卒。80年、渡辺正行、ラサール石井と「コント赤信号」でTVデビュー。91年に佳江さんと結婚。2001年、31歳の佳江さんに乳がん発症。12年に永眠。今年9月に、出会いから別れまでの出来事をつづった「猫女房」(秀和システム)を上梓。

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