検査数値 裏読みナナメ読み

ビタミンC摂取で陰性に 尿潜血で「2+」以上は膀胱がんか

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年を重ねると、尿のトラブルに悩まされます。そのひとつが、血尿です。今回は、尿潜血検査についてご紹介します。「-」は異常なし。問題なのは「±(偽陽性)」と「+(陽性)」で、「+」の数が多いほどよくありません。

 メタボ傾向の今井和夫さん(45歳=仮名)は、尿酸値が7.2㎎/デシリットル(正常値は7未満)のほか脂質などもやや高め。そのための治療で受診しています。昨年、会社の健康診断を受けたら、尿潜血検査の結果が「+」だったと話してくれましたが、自覚症状がなく、放置。それから1カ月後、慌てた様子で電話がかかってきました。

「腰から背中の辺りが明け方からものすごく痛くて。吐き気もひどく、会社に行けないんです。どうすればいいですか」

 健康診断の話やこれまでの受診記録から心当たりがありました。尿路結石です。総合病院の泌尿器科を紹介し、受診していただきました。

 石の成分はカルシウムやシュウ酸、尿酸などいくつもありますが、ほとんどは腎臓の中の腎盂で作られます。その大きさによって、尿として排出される間にどこかにひっかかったりして痛みを伴うのです。泌尿器科では石を砕いて排出させる治療などが行われます。話を聞くと、案の定、結石性腎盂腎炎だったといいます。

 一般に結石を伴わない腎盂腎炎や膀胱炎は女性が圧倒的で、男性は少ない。尿道に感染した大腸菌などが逆行して炎症を起こすのですが、この病気は、性的行為の影響を少なからず受け、腟と尿道が近い上、女性は尿道が男性より短いため感染しやすいのです。パートナーの女性がよく発症する場合は、行為後のシャワーが無難でしょう。

 男性は結石による尿潜血だけ注意すればいいのかというと、そうではありません。特に「2+」以上は要注意で、膀胱がんや腎がん、前立腺がんなど悪性腫瘍を疑って速やかに精密検査を受けることをお勧めします。膀胱がんは、「2+」以上で診断されるがんの中で最も多いのですから。

 蛇足ですが、ビタミンCを多く含むジュースやサプリを摂取すると、本当は陽性なのに、陰性になることがあります。尿潜血検査前のビタミンC摂取は禁物です。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

関連記事