通常、息をするときは食べ物の通り道である食道が閉じて空気の通り道である気道が開き、空気が肺に入る。食べ物をのみ込むときはその逆で食道が開き、気道が閉じる。息ができなくなるのは、気道の入り口を餅が塞いでしまうからだ。
「高齢者は、歯を失うなどして噛む力が衰えているのに加え、舌などの口腔内の筋肉で食べ物をのどに送る力などが低下しているからです。しかも、唾液量が減るためのみ込む力も弱まります。つまり、本人は噛んでいるつもりでも実際はのみ込んでいる、早食いしているケースがあり、それが気道のふたの部分に食べ物がどんどん詰め込まれていく詰め込み食いにつながり、気道が開かなくなる原因になっているのです」
それでも咳をして詰まった餅を押し返すための防御反応ができればいいが、年を取るとその力も弱まるという。
高齢者は姿勢も問題で、背中をまるめた猫背の場合、顎が上がって、顎の噛むための筋肉が十分発揮できずに気道に餅が詰まりやすい。椅子にしっかり座らず足をぶらぶらしていると体が安定せず、のみ込むための首の筋肉が動かしにくいからだ。