Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

私自身がんに<1>膀胱の内視鏡画像を見たときのショック

疑いようのない画像結果に…(囲み部分)/(提供写真)

 翌10日の朝にその後輩医師に膀胱内視鏡検査をお願いしたところ、膀胱がんがほぼ確定したという経緯です。内視鏡の画像は、疑いようのない表在性の膀胱がん。早期で手術で切除できるとはいえ、正直ショックでした。

 日本人男性の3人に2人が、がんになる時代です。がんにならない方が少数派で、「がんになることも前提にした人生設計が必要」などと書いてきました。しかし、たばこは吸いませんし、運動は毎日行っていて、体重も若い頃のままです。正直、自分が膀胱がんに罹患するとは思っていませんでした。「なぜ私が」と否認したい気持ちでした。

 膀胱がんは人口10万人当たり10人程度の発生率で、男女比は3対1と男性に多く、60歳以降の高齢層に多く見られます。危険因子として確立しているのは、特定の化学物質を除けば喫煙だけ。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙のために発生するといわれます。コーヒーについては結論が出ていませんが、大きな影響はないと考えてよいと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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