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「尿タンパク」は陰性でも…糖尿病の人が追加するべき検査

採血
採血

 尿タンパクは、おなじみの検査でしょう。タンパクの有無を調べる定性検査とタンパクの量を調べる定量検査があって、定性検査は陽性(+)と陰性(-)で判定し、陰性が正常。定量検査は、1日100㎎/デシリットル以下です。

 消化管で吸収された水分や栄養素などは血液の流れにのって全身をめぐります。

 その途中で腎臓にある糸球体のろ過装置を通過。そこで老廃物や余分な水分が取り出されたのが尿のもととなる原尿です。原尿には、体に必要な電解質やタンパク質なども含まれています。尿細管という排水管を通る際、そういう必要な成分や水分が血液中に取り戻されるのです。

 その仕組みが再吸収。健康な人なら尿にタンパク質が漏れることはありません。ですから、尿タンパクは陰性が正常なのです。

 ところが腎炎や尿路感染症、尿路結石、膀胱炎などで腎機能が低下すると、タンパク質が尿に漏れることがあります。その場合は病気の発見に役立ち、それぞれの治療に結びつける手がかりになるのでいい。激しい運動や発熱、女性なら生理や妊娠、精液や腟分泌液の混入などそれほど深刻でないこともありますが、そうだと分かれば問題ありません。

 では、陰性だから大丈夫かというと、そうでもないのです。

 糖尿病の合併症のひとつの糖尿病腎症だと、尿タンパクの定性検査で陰性であるにもかかわらず、アルブミンというタンパク質がわずかに含まれていることが少なくありません。その状態を放置すると、糖尿病腎症が悪化し、腎不全を起こし、人工透析を余儀なくされます。

 糖尿病の人は、尿タンパク検査だけでは不十分ということです。そこで欠かせないのが、わずかなアルブミンも検出できる「尿中微量アルブミン」を定期的に受けることが無難でしょう。

 腎不全を招く病気はいくつもありますが、その1位が糖尿病腎症。糖尿病の人は3割ほどが糖尿病腎症を合併しているといわれますから、決して油断できません。

 糖尿病で「尿中微量アルブミン」を調べたことがなければ、すぐに受けることをおすすめします。

梅田悦生・赤坂山王クリニック院長

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