「涙液中のグルコース値から血糖値を推定する技術ですが、血液に比べて30~40倍ほど薄く、いいデータが出なかったようです。涙液中のグルコース値は、実際の血糖値より数時間遅れてピークがくるので、リアルタイムで測定値が分からないと糖尿病の治療に結びつけられないのです」
ただ、コモディティー(日用品)として開発されたスマートコンタクトレンズの機能を医療に使うことも可能だ。たとえばソニーなどが進めている、まばたきでシャッターが切れるカメラ機能の場合、オートフォーカスなので近視や老視の矯正に応用できるという。
いずれにしてもスマートコンタクトレンズは目に直接触れるため、長期的な安全性や電磁波の影響などの検証が不十分なので、医療用として臨床での実用にはまだ時間がかかりそうだ。
そこで小橋特任講師は、別のIoT(モノのインターネット)技術を使った緑内障患者向けの眼圧計の開発も進めている。
プロトタイプ(原型)の開発は1年以内、3年後の実用化を目指しているという。
人生100年時代を支える注目医療