消えない目の不快感の正体は「眼瞼けいれん」かもしれない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ドライアイと診断され治療を受けているが、目の不快感が消えない……。この場合、眼瞼けいれんの確認が必要だ。清澤眼科医院・清澤源弘院長に聞いた。

 眼瞼けいれんは、「眼輪筋」の異常で起こる。眼輪筋とは目の周囲を取り囲む筋肉で、まぶたを閉じる働きがある。これが過度に収縮するようになり、まばたきが増えたり、自由に目を開けにくくなったりするのだ。両目に起こることがほとんどだが、片目だったり、左右で症状の程度に差が出ることもある。詳しい症状は〈表〉を参照してほしい(井上眼科病院・若倉雅登医師提供の資料を参考に作成)。3つ以上該当で、眼瞼けいれんの可能性ありだ。

「本態性、症候性、薬剤性の3タイプがあります。本態性は原因不明で、症候性はパーキンソン病などの一症状としてみられ、薬剤性は主に精神病領域で使われるベンゾジアゼピンという系統の薬剤の長期使用で起こります」(清澤院長=以下同)

 パーキンソン病などがあれば、その治療と並行して眼瞼けいれんの治療を行う。薬剤性と判明すれば、ベンゾジアゼピン系の薬剤を処方している医師に連絡を取り、別の薬への変更や減量を検討してもらう。自己判断で勝手に服薬をやめたり量を減らしたりする人がいるが、それらは離脱症状(禁断症状)を招くため、必ず医師の指導の下で減薬していくことが重要だ。

■ドライアイの背景に隠れていないかを確認

 眼瞼けいれんは、なぜドライアイと関連するのか? それは、まばたきが的確なタイミングで行えなくなるからだ。

「そのために涙の量が少なくなり、ドライアイが生じるのです。眼瞼けいれんにドライアイは必発の症状で、ドライアイの背景に眼瞼けいれんが隠れていないか、確認しなければなりません」

 眼瞼けいれんによるドライアイには、点眼薬だけでは効果が不十分。涙の出口である涙点にフタをして、涙が排出しないようにする涙点プラグが適している。

 そもそもの眼瞼けいれんも、原因不明の本態性では「完治」は難しいが、症状を大きく軽減することは可能だ。

「治療の第1選択肢が、A型ボツリヌス毒素療法です。A型ボツリヌス毒素は生体由来の毒素製剤で、けいれんが起こっている部位に注射します。効果は3~4カ月といわれていますが、私の患者さんには、その期間以上に何らかの効果が持続した方や、A型ボツリヌス毒素療法を受けているうちに症状が消えてしまった方もいます」

 この治療を受けた人の20%は、初期では効果がなかったという報告もある。しかし、続けるうちに効果が出てくるケースも少なくない。また、A型ボツリヌス毒素療法はボトックス注射とも呼ばれ、自費診療として美容目的にも活用されているが、眼瞼けいれんは保険適用だ。3割負担で1万5000円ほど。高額であること、皮内注射なので痛いこと、施術後に皮下出血などを伴うことがあることがネックか……。

「A型ボツリヌス毒素療法以外では、経口薬、指を目尻にかけるなどの知覚トリック、遮光眼鏡や点眼薬(レバミピド点眼薬)によるまぶしさや痛みの治療、重症例に検討する眼輪筋切除術があります。ただし、いずれもA型ボツリヌス毒素治療に勝るものではありません。眼瞼けいれんに悩んでいるなら、まずはA型ボツリヌス毒素療法を考えた方がいいでしょう」

 眼瞼けいれん、特に本態性は、40代以降の女性に多い。下の〈主症状〉で該当するようなら、眼科へ。

<主症状>
●まばたきが多い
●まぶしさをよく感じる
●目を開いていられない
●目が乾き、気になる
●人混みで人にぶつかる
●電柱や木にぶつかる
●太陽や風、階段が苦手
●車や自転車の運転が危険
●時々手で目を開ける
●片目をつぶってしまう

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