後悔しない認知症

周囲の対応で変わる 都会と田舎で認知症の進行が違うワケ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 いまはデイサービスの普及によって、都会でもそれなりにコミュニケーションの機会は増えたが、認知症の高齢者の症状やQOLは、住んでいる地域の環境、住民の意識、子どもたちの対応によって大きく左右されることをよく認識してほしい。

 障がいがある三つ子の父親であり、自然栽培農業の普及活動を進める佐伯康人氏はその著書「あの青い空に向かって」のなかで述べている。

<「こういう子もいるんだ」ということを知ってもらいたい。現実を正しく見てもらうことで障がい者に対する理解者が増え、困っていれば手助けしてくれる人が増える>

 認知症の高齢者と障がい者を同列に論じることはできないが、子どもが世間体を気にするあまり認知症の親の行動をいたずらに制限してしまうことは避けるべきだ。もちろん、危険な徘徊をするようなケースはそのかぎりではないが……。

 超長寿社会に突入した日本では、これからも認知症高齢者の割合は増加する。だからこそ、子どもや周囲には正しい理解と対応が求められる。無理解な言動や視線を感じても、臆することなく「親は認知症ですが、それが何か?」というくらいのスタンスをとるべきなのである。

3 / 3 ページ

和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

関連記事