インフルエンザ流行 専門医が教える今やるべき7つの対策

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 昨年12月からインフルエンザ流行期に入った。学級閉鎖をする学校も出てきている。今、やるべき対策は? 呼吸器内科専門医である池袋大谷クリニック・大谷義夫院長に聞いた。

 仕事柄、大谷院長がインフルエンザ患者と接触する機会は、我々一般人よりはるかに多い。それでもインフルエンザで倒れることなく過密なスケジュールをこなせているのは、「エビデンス(科学的根拠)があることは全てやる」という姿勢で臨んでいるからだ。 

「マスクは診療がある時は1日20枚以上、休診日でも外出のたびに交換するので、だいたい4枚以上使っています」(大谷院長=以下同)

 インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染、最近では空気感染の報告もある。マスクは飛沫感染をシャットアウトし、喉の潤いを保つ。ただし、マスクの“使い回し”はダメだ。

「マスクの表面にはウイルスが付着しています。一度外したものを再び使えば、そのウイルスに接触感染する。外したら捨てる。外す時は、マスクの表面に触れない」

 うがいは、今はインフルエンザ対策としては推奨されていない。

「水うがいは否定されたものの、緑茶うがいを有効とする報告があります。喉を潤し、ウイルスが嫌う環境をつくる効果がある。その目的であれば、飲み込むのでもいい。緑茶のカテキンが感染予防効果を上げると実証されているため、私は7~10分置きに緑茶を飲んでいます」

 手洗いは、泡立てたせっけんで、爪、手指の間、手の甲やひら、手首まで30秒かけて洗う。日常的に無理なら、アルコール消毒がお勧めだ。速乾性ですり込むタイプが市販されている。

「アルコール消毒は15秒ほどで済みます。私は患者さんを1人診るごとに、次の患者さんにウイルスを感染させないためもあり、手をアルコール消毒しています」

 アルコール消毒は家庭、オフィスともに置いておきたい。インフルエンザウイルスは、金属やプラスチックなど表面平滑な物質で24~48時間生存し、ウイルス活性は24時間持続する。表面平滑な物質とは、ドアノブ、電車の手すり、スマホ、パソコン、デスクなどさまざま。頻繁な消毒を心掛けた方がいいだろう。

「衣服や紙、繊維のウイルス生存は8時間、ウイルス活性は15分。私は念のため、ペーパータオルを使用しています」

■ビタミンは感染予防に役立つ?

 感染予防のために、ビタミンCを活用している人もいるだろう。ところが、エビデンスが多数あるのはビタミンDだ。

「ビタミンDが豊富な魚、キノコ類を積極的に取る。また、手のひらを1日20分(関東の場合)日光に当てれば、体内のビタミンDが増えます」

 大谷院長のクリニックでは、待合室、診療室、スタッフルームなどあらゆる場所に加湿器が置かれているのが印象的。

「自宅でもそうです。湿度50~60%が喉の線毛の免疫が高まり、インフルエンザウイルス対策に最もいいのです」

 睡眠と適度な運動も忘れてはいけない。睡眠不足はインフルエンザ感染のリスクを高める。そして適度な運動は免疫力をアップする。

「自分に合った十分な睡眠を確保する。運動は、私は普段は水泳を30分ほど。インフルエンザではなく軽度の風邪をひいた時ですが、それでも5分程度泳ぎます。風邪の治りが良くなるのです」

 今日から始めよう。

■ワクチン接種  

 ワクチン接種をしていない人は「今からでも、やらないよりやった方がいい」(大谷院長)。当然ながら大谷院長は家族も含め、11月後半にワクチン接種をしている。

■発症したら     

 発熱、関節痛などがあり、「いつもと違う風邪」と思ったら、インフルエンザの検査が陽性となる6時間程度は自宅待機してから病院へ。効果が高い新薬も出ているが、発症後48時間を過ぎたら効かない点は従来薬と変わらない。

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