性感染症最前線

梅毒<1>典型的な症状が出ないからといって安心はできない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 梅毒は、風疹などと同じで第5類感染症に分類され、医師に発症届け出(全数報告)が義務づけられている。しかし、「梅毒は昔の病気」と思っている人が多く、若い医師は梅毒の診療経験がほとんどないので、現在の報告数は氷山の一角とみられているという。

 病原体は「梅毒トレポネーマ」と呼ばれるらせん状をした細菌の一種で、皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し、感染する。典型的な症状は、感染から通常1カ月前後に最初(早期梅毒第1期)の症状が現れる。性器や肛門周辺などの感染した部位に「しこり」や「潰瘍」ができるのだ。また、同時に股の付け根のリンパ節が腫れることもある。

 これらの症状は痛みがないことが多く、治療をしなくても1カ月ほどで自然に軽快する。しかし、体内から病原体が消えたわけではなく、時間をかけて次々と体をむしばんでいく。特に妊婦は要注意という。

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