天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

薬の進歩と適正使用がヒトの寿命を30年延ばした大きな要因

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

 たとえば血糖値は、昔の管理の方法では血糖値が上下動して凸凹になってしまうものでしたが、いまは一定にコントロールできるようになっています。かつてはなかったHbA1cという管理基準の指標が登場したことによって、より効果的に薬を使えるようになり、管理しやすくなったのです。

 健康寿命が延びているのは、そうした30年、40年前よりも進歩した部分によるところが大きいといえます。もっと噛み砕いて言うと、ペットとして飼われている犬の寿命はかつては10年くらいでしたが、いまは15年に延びています。これは、効果的な薬を使って寄生虫を駆除できているからです。また、毎日与えるエサの中にビタミンを配合するなど、動物の生活習慣病を起こさせない管理もできるようになりました。

 薬を適正に使うことで10年だった犬の寿命が50%延びて15年になった。人間も同じで、薬を正しく使って生活習慣病をコントロールできるようになり、70年の寿命が100年に延びたのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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