医者も知らない医学の新常識

脳を使っても認知症は予防できず…英医学誌に論文掲載

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 認知症にはだれもなりたくはありません。その治療薬は世界中で研究されていますが、今のところその進行をある程度遅らせる薬はあっても、治せるような薬は開発されていません。治療に決め手がない状態では、認知症にならないように予防する、というのが、次に誰もが望むことです。それでは認知症を確実に予防するような方法はあるのでしょうか? 

 認知症にはアルツハイマー病や脳血管性認知症など、さまざまな種類がありますが、たばこを吸わない、血圧を上げない、血糖値を正常に保つ、など、心臓病や脳卒中を予防するような生活習慣が、実は認知症の予防にも最も有効であることが分かっています。

 脳は使うほど鍛えられるので、頭を普段から使っていれば認知症になりにくい、という考え方があります。脳トレと言われるものは、その考え方をもとにしているのです。しかし、本当に脳を使えば認知症は予防できるのでしょうか? 

 2018年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、興味深い論文が掲載されています。

 スコットランドの高齢者を長期間観察して、知的活動と認知症の進行との関連を検討したところ、知的活動をしていても、認知症の予防にはつながっていませんでした。もちろん脳を鍛えることはその時の知的能力を高めるのには有効ですが、病気としての認知症の予防には、どうやらならないと考えた方がよさそうです。

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