厚労省データで最少 がんにならない生き方を沖縄県に学ぶ

温暖な気候の中で、のんびり、ゆったり
温暖な気候の中で、のんびり、ゆったり(C)日刊ゲンダイ

 日本で一番、がんになりにくいのは沖縄県民――。こんなデータが注目されている。

 厚労省が16日に発表した「全国がん登録の概要」は人口10万人当たりのがんの発症率を都道府県別に掲載している。沖縄県の発症率は356.3人で全国で最少。ワーストの長崎県(454.9人)と約100人の差があった。

 この結果に当の沖縄県もビックリだ。

「以前から当県のがん患者が少ないという印象は受けていましたが、今回初めて全国でベストということが分かったため驚いています。ただ、特別にがん対策をしていたわけでもなく、原因も分かっていません」(沖縄県保健医療部健康長寿課)

■ぬるい食べ物、低い身長、習慣的に果物を

 沖縄は温暖な気候で人々があくせくしない印象が強い。そのあたりが、がん予防につながっているようだ。

「日照時間が長いことが、がん全般の発症を抑えていると思われます」とは医学博士の米山公啓氏だ。

「日光に当たる機会が多いため脳内でセロトニンが分泌されストレスに強くなる。その結果、がんに対する免疫力を維持できるのです。沖縄県民の胃がん発症率が全国で最少なのは塩分の摂取が少ないから。南に位置するため糖分を好む傾向があり、相対的に塩分の濃度が低いことがプラスに働いています。保存食の漬物などを塩辛くして胃がんの患者を増やしてしまう東北とは大きな違いがあります」(米山公啓氏)

 因果関係は不明だが、食道がんの患者は熱い食べ物を好む人や高身長の人に多いことが統計上、分かっている。沖縄は温暖のため熱い食べ物に固執しない。県民の身長も低い。2014年の「学校保健統計調査」によると、17歳の男女はどちらも全国で最下位だった。このほか、果物を食べる習慣が浸透していることもがん予防につながっている。

「サラリーマンも沖縄県の人を見習って塩分を減らし、なるべく外出するようにすれば、がんのリスクを下げることができます。食道がんが心配な人は熱い飲食物を避け、咽頭がんや肺がんが心配なら食後のデザートに果物を食べるのがいいでしょう」(米山公啓氏)

 がんが心配なら沖縄に移住してのんびり暮らしたほうがいいかも。

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