病み患いのモトを断つ

市原悦子さん急逝 心不全は安静から「リハビリ」の時代へ

亡くなった市原悦子さん(C)日刊ゲンダイ

「まず運動負荷試験を行って、それぞれの人に適切な運動量を調べます。具体的にはエルゴメーター(自転車こぎ)やトレッドミル(自動歩行器)を使って、心電図や血圧、呼気中の酸素と二酸化炭素などを測定しながら心臓の負担にならず、かつ心臓の機能回復につながる運動量や負荷を探ることになる。ウオーキングもしんどいような方だと、スクワットやかかと上げなどの筋トレからスタートすることもある。そうやって、最大能力の40~60%の強さの運動が適切なレベルです」

 医師や看護師、理学療法士、運動指導士などの指導を受け、そのレベルを探りながら、少しずつ負荷を上げる。金馬は「3時間」だったが、一般に1時間が目安。もちろん、心不全や心筋梗塞のベースにある高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療のほか、食生活の改善も並行して行うことになる。

「心臓は筋肉の塊で、そのポンプ機能によって酸素や栄養素が全身に供給されます。ですから、使われないと、筋肉が衰えるように、心臓のポンプ機能も衰えるのです。心臓リハビリは、通院による回復期だけでなく、維持期もコツコツと続けることが大切。そうすると心臓機能が改善したり、血管が広がりやすくなったりするだけでなく、筋肉も増えて生活が楽になるし、運動のリフレッシュ効果で精神状態も前向きになります」

「リハビリの体験話でもしようと思います」と芸の肥やしにする金馬のような前向きさがあれば、厄介な心不全も乗り切れるのだ。

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