そのためAIの予測判定は複雑で、なぜそのような結果になるのか説明が難しい場合もあるという。例えば、肥満度や腹囲が大きいほどリスクが高まる傾向にあるが、こうしたリスク要因の影響の度合いは、他の検査データによって一様ではない。AIは実データに基づいてそのあたりのさじ加減をモデル化し、柔軟に予測しているわけだ。
AI予測の開発には、データを学習させるのに約半年、ホームページ上で利用できるシステムづくりに約半年かかっている。開発のポイントは、どんなところにあるのか。
「糖尿病の予測にAIを導入したことで注目されましたが、実は重要なのはAI自体よりも、どれだけ質の良いデータを使用しているかです。データの品質が低ければ、AIは間違った結果を出してしまう。そういう意味で日本では労働者に対する健診が義務づけられているので、偏りのないデータがそろっています。それをAIに学習させることで、糖尿病の正確なリスク予測が可能となったのです」
AI予測の結果表示のページには、同センターが設置する「糖尿病情報センター」のホームページにアクセスするリンクが張られている。これらのツールを使って多くの人に糖尿病のことを詳しく知ってほしいという。
人生100年時代を支える注目医療