独白 愉快な“病人”たち

今も肺がん治療中 フットサル久光重貴さん語る壮絶闘病

久光重貴さん(C)日刊ゲンダイ

 病院で「イレッサという抗がん剤(分子標的薬)を使って治療を行う」と言われたので、家に帰ってネットで調べてみたら、副作用や死亡例など悪い話ばかりが出てきました。それでどんどん怖くなってしまい、それから3日間は眠れず、食欲も落ち、ろくに食べることもできませんでした。 がんについて相談したり助言をもらえるような知人も周囲にはいませんでしたし、実家で悲しむ母親を見ているのもつらかったので、1人暮らしの部屋で安静にしていました。すると、いろんな思いが湧き起こるんです。毎年メディカルチェックも受けてきたのに……とか。自分のがんは骨の後ろにあって、がんが小さい間は見つけられなかったそうです。でも、「じゃあ仕方がないか」なんて思えませんよね。

 命について、人生について、苦しみながら真剣に考えました。

 それが、自分のそれからの生き方を変えたと思います。振り返ると、この頃が一番つらかった。乗り越えられたのは、自分は1人じゃないと気づいたから。家族や一緒に治療に取り組んでくれている医療関係者はもちろんですが、チームをはじめ多くの方が応援してくれました。7月8日の誕生日の翌日に入院し、治療を始めると同時に、チームのサイトで病気を公表してもらったんですけど、友人、知人、見知らぬ海外の方まで応援メッセージを寄せてくれました。その日、自分の携帯の通知音は鳴りやまなかったほどです。治療と向き合うための勇気をもらい、応援が力になることを実感しました。

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