性感染症最前線

梅毒<3>初期症状は2~5週間で消えるが治ったわけではない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そして増殖した菌は血流に乗り全身に運ばれ、再び症状(早期第2期)が出現するのは感染から3カ月後くらいだ。全身の皮膚や粘膜に発疹が現れる。胴体を中心に薄い発赤が無数にできる「バラ疹」。手のひらや足裏に赤褐色の発赤や隆起ができる「梅毒性乾癬(かんせん)」。肛門周囲に多数現れる「扁平コンジローマ」。頭髪がまばらに抜ける「梅毒性脱毛」などが特徴だ。第2期症状も1カ月ほどで自然に消えるが、無治療だと何度も繰り返す場合がある。そして感染後3年経つと「後期梅毒」となり、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)ができる第3期の症状が現れる。しかし、現在はこの段階まで治療されないケースはほとんどないという。

■注射1本で治る時代へ

「治療はペニシリンの投与です。当院は歌舞伎町近くにあり外国人の患者さんも多く、注射での投与を希望されることが多いのですが、日本の治療は独自のもので約60年間、経口投与が行われています。戦後すぐにショック死事件があったからです」

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