マラソンで命落とすことも…ランナーの事故と対策を知る

2018年の東京マラソン(C)日刊ゲンダイ

「日頃走らない」「過度な肥満」の人は当然だが、ベテランでも危険はある。

「マラソンは直接的に心筋障害を起こすことがあります。これはマラソン後に心筋壊死マーカーである心筋トロポニンの上昇で証明されています」(東丸医師)

 心筋トロポニンとは心筋由来のタンパクで、血液中に増えると「心筋破壊」か「これを代謝する腎臓機能低下」が疑われる。

「マラソンをすると心拍数増加や血圧上昇などで心機能が落ち、心不全や不整脈が起きることがあります。もともと心疾患がある人に多いものの、高齢者や糖尿病など生活習慣病のある人では症状がなくても心臓予備力が落ちているので注意が必要です」(東丸医師)

 まして大会は普段と違うストレスがかかる。

「生活習慣病のある人、40歳以上で血圧130/80㎜Hg≧、あるいは45歳以上の男性や、50歳以上の女性は、心電図、負荷心電図、心エコー検査、軽度動脈超音波検査を受けて虚血性心疾患、弁膜症心筋症、不整脈などの心疾患や脳動脈硬化がないことを確認しましょう。高血圧の人は治療を受けて血圧コントロールをしてもらう必要があります。65歳以上の高齢者は頭部MRIやMRAで脳梗塞や脳動脈瘤の有無をチェックするのも忘れずに」(東丸医師)

 腎臓が気になる人は脱水に注意し、レース前後は水分を多めにとる。マラソン後は一時的に腎機能が低下するため、むちゃな飲食は控えることだ。

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