Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

私自身がんになって<4>膀胱がん再発を抑えるBCGはやらない

「pTa」だったが…(提供写真)

 初発の表在性膀胱がん患者484人を対象とした研究結果では、筋肉に浸潤した膀胱がん(膀胱全摘の対象)に進展したのは40人(8.3%)でした。進展する時期はまちまちで、最初の治療から10年経って進行するケースもあります。

 私も、ほかの早期がんと同様、症状などありませんでしたが、手術後は排尿時の痛みが続いています。早期発見は当面の生活の質の悪化と引き換えに、将来の時間を手にする行為といえるでしょう。ただ、未来は常に不透明で、がんとの付き合いは難しいものです。そんな思いから私は、総合的に判断して、BCGは使わないつもりでいます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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