「お米を食べる」効能を見直す

お米の栄養素を再確認 6%のタンパク質が糖尿病の予防にも

血中コレストロール、中性脂肪を下げる
血中コレストロール、中性脂肪を下げる(C)日刊ゲンダイ

 日本人のコメ離れが加速している。1人当たりの消費量は1962年の約118キロをピークに減少し、2016年は半分以下の約54キロ。茶わん1杯分の米が65グラムだから、1日2杯程度しか食べていない。だが、近年になって米の効能に関する研究成果が次々と発表されており、米を見直す動きがある。

 若い女性を中心に炭水化物を減らすダイエットがはやっている。

 精白米は全体の70~80%がデンプン(炭水化物の糖質)でできており、痩せたい女性にとってはにっくき敵だ。

 だが、米の中に約6%ものタンパク質が含まれていることは、あまり知られていない。

「米には炭水化物以外にもさまざまな栄養成分が含まれており、実は日本人は、1日に必要なタンパク質を、肉類、魚介類の次に米から取っています。この事実は、お医者さんでもあまり知らないし、学校でも教えてくれません」

 こう話すのは、「米タンパク質の機能性解明の研究」を行った新潟工科大学副学長の門脇基二教授だ。厚労省「国民健康・栄養調査」(09年=別表)によると、1日に摂取するタンパク質の内訳は、「魚介類」(20.9%)、「肉類」(19.2%)に次いで、「米・加工品」(12.4%)が3位だった。

 タンパク質摂取量は男女とも60代が最も多く、20代男性の1日73.9グラムに対し、60代男性は80・6グラムも取っている。ところが、60代、70代は若い世代に比べ、「穀類」からの摂取割合が少ない。腹八分目でご飯を減らしている可能性はある。

「大豆タンパク質が血中コレステロールや中性脂肪の値を低下させることが分かってきています。そこで、白米タンパク質にも同様の効果があるのか動物実験で調べてみたところ、大豆タンパク質と同程度の効果が出ました。米に含まれるタンパク質は、小腸でつくられるホルモン(インクレチンの一種)を活性化させ、インスリン分泌を促進することが分かっています。白米タンパク質の摂取は、糖尿病の進行を遅延させ、その慢性的な高血糖を原因とする合併症である糖尿病性腎症の進行予防にも役立つことが期待されます」(門脇教授)

 必要な栄養素のうち、日本人に著しく不足しているのが、炭水化物に含まれる食物繊維だ。摂取量は男性15グラム、女性14.4グラムしかなく、目標値に4~5グラムほど足りない。玄米なら茶わん2杯の量だ。

「お米の消費量を減らした結果、みすみすタンパク質という大事な栄養素を逃していた可能性はあります。和食は一汁三菜を基本とし、日本人はお米を主食として魚や野菜などをバランスよく食べてきました。いい副菜を取るためにも、お米は格好の主食となるはずです」(門脇教授)

 米を食べて健康になるのは驚きの事実だ。

関連記事