以上を総合して考えれば、高齢者の高血圧の治療効果は、高齢になるほど、介護が必要になるほど、害とのバランスが微妙になり、脳卒中や心不全を予防する一方で、腎臓を傷めたり、寿命を短くしている可能性があります。
高齢者の血圧を評価する際に、自立した元気な高齢者なのか、介護が必要な状態なのかを考慮するのは重要なことなのです。
生活と健康 数字は語る
「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。