人生100年時代の健康法

男性9年、女性は12年以上…不健康期間は延びているのか?

いつまでも元気でいたい
いつまでも元気でいたい(C)日刊ゲンダイ

 厚生労働省が発表する健康寿命。直近の数字は2016年時点で、男性72・14歳、女性74.79歳で、平均寿命と比べて、男性は8・84歳、女性は12.35年だけ短くなっています。

 健康寿命をネットで調べてみると「平均寿命のうち、健康で活動的に暮らせる期間」「日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと」などとされています。

 したがって、逆に平均寿命と健康寿命の差は、病気や要介護状態、人によっては認知症を患いながら過ごす不健康期間ということになります。それが男性で約9年間、女性では実に12年間以上になるというのです。

 言うまでもなく、平均寿命は延び続けています。もちろん健康寿命も延びてはいるのですが、なかなか平均寿命に追いつきません。むしろ、少しずつ引き離されています。

 例えば01年の男性の平均寿命と健康寿命の差は8・67歳でしたが、上記のとおり、16年には8.84歳です。

 前回お示ししたように、現在50歳の人の実質的な平均寿命は約88歳です。健康寿命との差が約9年とすると、平均して79歳で病気や要介護に陥る計算になるわけです。

 これは、第二の人生を乗り切る上で大問題と言えるでしょう。

 定年退職後もできるだけ長く、なにかしら仕事を続けて生活費を稼ごうというシナリオが、根本から揺るぎかねません。それに、平均約9年間も不健康で不自由な生活を強いられるのは、つらすぎます。家族や周囲の人にも迷惑をかけてしまいます。

 とはいえ「健康寿命は79歳」と言われても、あまり実感が湧かないのではないでしょうか。70代の知り合いで、病気で日常生活がままならない人や、認知症で施設に入ってしまった人は、何人おられますか。もちろん持病を抱えた人は大勢いますが、大半は生活に支障があるというほどではありません。

 健康寿命は、どうもうさんくさい。少なくとも参考にはならないのではないか。そう考えるのが、むしろ自然です。

 では、どのような秘密が隠されているのでしょうか。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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