例えば01年の男性の平均寿命と健康寿命の差は8・67歳でしたが、上記のとおり、16年には8.84歳です。
前回お示ししたように、現在50歳の人の実質的な平均寿命は約88歳です。健康寿命との差が約9年とすると、平均して79歳で病気や要介護に陥る計算になるわけです。
これは、第二の人生を乗り切る上で大問題と言えるでしょう。
定年退職後もできるだけ長く、なにかしら仕事を続けて生活費を稼ごうというシナリオが、根本から揺るぎかねません。それに、平均約9年間も不健康で不自由な生活を強いられるのは、つらすぎます。家族や周囲の人にも迷惑をかけてしまいます。
とはいえ「健康寿命は79歳」と言われても、あまり実感が湧かないのではないでしょうか。70代の知り合いで、病気で日常生活がままならない人や、認知症で施設に入ってしまった人は、何人おられますか。もちろん持病を抱えた人は大勢いますが、大半は生活に支障があるというほどではありません。
健康寿命は、どうもうさんくさい。少なくとも参考にはならないのではないか。そう考えるのが、むしろ自然です。
では、どのような秘密が隠されているのでしょうか。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。