映画「がんになる前に知っておくこと」製作者に聞いた

映画「がんになる前に知っておくこと」(左・上原拓治プロデューサー)/(提供写真)

 今まで遠くにあったがんという存在が、急に身近に感じました。ショックだったこともあり、がんとはどういうものか基本的な知識を教えてくれるようなものを探し始めたのです。ところが、見つからない。ある程度、がんの知識を持つがん患者を対象にしたものや、がん治療の最前線を追ったものはあるんです。ところが、特に映像では、私が知りたい情報に応えてくれるものがなかった。それなら自分で作ろうと思ったのがきっかけです。

 がんは怖いもの。がん治療は一日でも長く生きるために行うもの。これらは、取材を始める前の私のがんに対するイメージです。

 しかし、完成までの3年近い年月の中で、私の考えは変わりました。今はがんと共存できる時代。医療には100%はなく、何を自分が大切にしているかを考え、「人生の質(QOL)」を第一にした治療を探っていくべきだと。がんについて知ることで、がんは怖いものというイメージは消えました。

2 / 4 ページ

関連記事