脳科学の面から考えても、人は経験したことのないシーンでは、これまで使ったことのない前頭葉の機能が活性化する。生まれてはじめての海外旅行など、まさにそれだ。
新しいチャレンジは新しい情報の入力につながる。入力された情報の出力、つまり会話や記述の機会も増える。これが脳の老化を遅らせる。
ただし、新しいことへのチャレンジがすべて有効かといえば、そうとは限らない。「脳の活性化にいいから」と認知症の高齢者などにもともとの趣味でもない数独、計算、パズルを推奨する人がいる。私はその効果に否定的だ。たしかに計算の能力を高めるかもしれないが、脳の他の機能を高めることはない。このことは実験で明らかになっている。マニュアルがわかれば自動的にこなせるエクササイズでは、その効果は極めて限定的だといっていい。
新しいチャレンジのテーマ選びは、「想定外」を体験すると同時に、機嫌よく、意欲を駆り立てられるものがいい。
後悔しない認知症