認知症の人にも効果あり「歯科VR」のメリット&デメリット

乳児から大人の患者まで…(提供写真)

■痛みが“消える”

「治療中は患者さんが見ている画像を治療側が操作し患者さんの姿勢を治療しやすい形に誘導することも可能です。また、VRによる気をそらす効果は痛みに高い効果があるため、患者さんは楽に治療できます」(松村氏)

 VRによる鎮痛効果には有名な報告がある。16歳と17歳の米国男性の熱傷治療中に、テレビゲームとVRを使った場合に痛みをどう感じるかを調べた。その結果、VRが圧倒的に鎮痛効果が高かったことが報告されている。一昨年、福岡県内で局所麻酔をして歯科治療中の2歳の女児が亡くなったが、もし歯科VRがあれば避けられていた可能性もあるのではないか。

■目は悪くならない

 ちなみに、BiPSEEでは一般的な3DVRでなく、2Dを使用しているという。

「日本では、3D映像を用いたVRの視聴について、幼い子供の視覚への影響を懸念する声があります。そのことに配慮したものです。一方、欧米のガイドラインでは眼科的な疾患(遠視や斜視など)の既往がある子供以外には3D映像の視聴に制限がありません。今後、科学的な知見を重ね、納得感を醸成しながら、3D映像の採用も検討します」(松村氏)

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