「お米を食べる」効能を見直す

脳のストレスを減らす 玄米の成分「γ-オリザノール」とは

玄米食べたらスリムに…
玄米食べたらスリムに…(C)日刊ゲンダイ

 米は糖尿病や肥満症の予防や改善に効果があるといわれる。それは、玄米の油分に含まれる「γ―オリザノール」が、脳内ストレスを減らして、食事に“幸福感”をもたらすから。動物性脂肪を食べたくなる欲求を抑えてくれる。

 日本国内で、「依存症」が深刻な問題になっている。たばこ、アルコール、ネット、ギャンブル……これらは脳の機能異常によるものとされるが、同様に「動物性脂肪」を過剰摂取する依存症が増加している。たとえば、ポテトチップスの袋を開けて一気食いしたり、毎日のようにファストフードのハンバーガーを食べたりする行動だ。琉球大大学院医学研究科第2内科の益崎裕章教授は言う。

「ストレスを抱えた脳はこってりとした肉や動物性の脂などを含んだ食品を摂取したがります。この高脂肪食が続くと、小胞体ストレスと呼ばれる脳内ストレスが蓄積し、食後の満足感やおいしいという快感を受け取りにくくなります。そのため、食べ過ぎて糖尿病や肥満症になる。さらに、小胞体ストレスは脳の神経細胞の自殺(アポトーシス)を誘発します」

 小胞体ストレスはパーキンソン病、アルツハイマー型認知症、がんの原因にもなる。海外では過剰な食欲を抑える薬が発売されてきたが、無理やり食欲を落とした結果、鬱を発症し自殺者も出た。

 現在では、発売中止になっているものもあり、薬で依存症を改善することは極めて難しい。

■「白米7対玄米3」でも効果的

 そこで、益崎教授が注目したのが「γ―オリザノール」だ。この成分を糖尿病マウスに与えたところ、脳のストレスを解消し、肥満や糖尿病の予防につながることが分かった。

 この研究成果は2017年に国際科学誌「Nature」にも掲載されている。

「米の中でも玄米、米ぬか成分に脳のストレスを解除する効果がみられました。マウスを使った実験で、『ラード』と『ヘルシー食』の双方に『γ―オリザノール』の成分を含ませてどちらを選ぶか観察すると、ヘルシー食を選ぶ割合が増えました。実験前は、ほぼ100%、ラードを選んでいたのにです。動物性脂肪過多の好みを変える働きがあります」(益崎裕章教授)

 一方で、野菜や魚に対する好みは変わらない。バランスよく食べられるようになる。食事量を変えずに、動物性脂肪の過剰摂取をやめられるのが玄米、発芽玄米、ロウカット玄米などだ。ぬか漬けにもγ―オリザノールは含まれている。

「白米とのミックスで十分。白米7対玄米3の割合でも効果は認められます。無理なく始められます」(益崎裕章教授)

 ファストフードがやめられない人は試す価値ありだ。

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